「マニフェスト」から「アジェンダ」へ?
◆「ごまめのつぶやき」は地域ミニコミ誌。もう20年ぐらいに
なる。メンバーは6名。今は私が編集長。
年に3回の発行。その時々、6人がそれぞれの思いを文章に
している。政治評論もあれば、それぞれの分野の詳しい情報も
あり、ほっとする野菜栽培やネコの話、エッセイも。
No56の印刷発送作業日を前に、私の原稿をここに紹介します。
◆「マニフェスト」から「アジェンダ」へ?
7月11日、参議院選挙が行われた。選挙戦は、日本チームの
決勝リーグ進出で列島が沸きに沸いた南アでのワールドカップ
期間と重なった。早朝からテレビの前で一喜一憂を繰り返して
きた人びとは最後に笑うことができただろうか?
いえ、スペインが優勝して嬉しかったとか、オランダが負けて
悔しかったとかいう話ではない。タコのパウルくん(ドイツ)の占
いがすごかったねという話でもない。選挙結果の報道に、テレビ
の前でニッコリ笑顔を見せた人がどれほどいただろうかという話。
与野党いずれの政党に投票した人も勝利を実感できず、ただ
ただ先行きに不安感を募らせただけ、そう、ため息をついただけ
だったのではなかったか。
先の衆院選から一年もたたない間に、民主党の支持率がなぜ
ここまで落ちたのか。その理由を語らせれば国民はたぶん一億
総政治評論家だ。理由はあまりにもはっきりしていた。
一方で自民党にだけは政権を戻したくないという人たちの存在
は揺るぎなく、今回注目を集めたのがみんなの党だった。「増税
の前にやることがあるだろう」「我々のアジェンダは―」の語りが
有権者にとって新鮮で魅力的だったようだ。この国の市民は新し
い言葉に弱い。これで政治はマニフェストからアジェンダに?
マニフェストに罪はない。それまでの「政治公約」は政党がいつでも
責任逃れできる抽象的なものだった。それを民主党は去年の衆院
選で、政策の数値目標、実施期限、財源、方法などを明記して「マニ
フェスト(政治公約)」と表現し有権者に示したのだった。目標が達成
できなかったら当然その理由を説明しなければならない。
有権者は「マニフェスト」を掲げたことで、民主党の責任感、覚悟の
ほどを見て取った。その結果政権交代が実現した。「マニフェスト」
は地方選挙から使われ始めたもので、決して民主党の専売特許では
ない。私たちは民主的な政治が行われるためにこの「マニフェスト」を
手放してはならない。
他方「アジェンダ」は?アジェンダとは単に、協議事項、議題、予定表、
行動計画を意味する言葉だ。みんなの党はこれを「政策課題」の意味
で使ったようだが、この言葉からは政党の責任感を見て取ることは
できない。どんな社会をつくろうとしているかを把握することもできない。
有権者は新しい言葉に惑わされることなく、政党の本質を見極める
ことが大事。どこかで次の選挙の受け狙い・流行り言葉を考えている
政党があるかもしれない。
(山中悦子)




