学習会・東ティモール10年のあゆみ

 21世紀最初の独立国、東ティモール。2012年5月20日の独立10周年にちなんで、東ティモール独立後の10年を振り返りました。講師は、現地での活動経験も豊富な、気鋭の研究者・高橋茂人さん(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員)をお招きしました。 

高橋茂人氏

2002年独立

 1975年のインドネシア武力侵攻以来、国際社会から見捨てられ続けてきた東ティモール。その独立の可能性は、客観的には限りなくゼロに近かった。それでもあきらめず、不屈の闘志でついに独立を獲得した人々に、2002年の独立時には世界中から尊敬と賛辞が寄せられた。貧しくとも、前途は多難でも、人々の瞳は希望で輝いていた。

それから10年

しかし、それから10年。東ティモールは、汚職や債務を含めて何でもある、どこにでもある「普通の貧しい国」になってしまった。こうなるだろうことは予想できた。しかし、こんなにも早いとは思わなかった。

経済的にインドネシアへの依存なしでは立ち行かないため、インドネシア政府・国軍との「和解=妥協」を進め、人道に対する罪で裁かれるべき人々に恩赦を与えている。1999年9月、アグスらを殺害したジョニ・マルケスも、2008年に釈放された。

また、以前は非武装と債務ゼロを目指していたが、タウル次期大統領は徴兵制導入への関心を表明している。国を守るために存在するはずが、自国民を最も多く殺害しているのはどこでもその国の軍隊だ。

日本との関係

2012年3月、野田首相は国道整備のため53億円の円借款を取り決めた。東ティモールへの世界で最初の借款供与だが、この数年の東ティモールの国際収支・国家財政を考えると、不良債権化する心配が大きい。

日本は、アジア太平洋戦争の戦後処理もしておらず、スハルト独裁政権を支えるためインドネシアの東ティモール占領を非難する国連安保理決議に一貫して反対票を投じてきたが、現在に至るまでそれらには一切触れていない。ひじょうに憂慮すべき状態である。

明るい希望が急速に消えたこの10年間だが、それでもさまざまなところでがんばっている東ティモールの人びとが残っており、それら友人たちとこれからも共に歩んでいきたい。

2012/4/27  

(運営委員・高橋俊夫・高橋圭子)