MINOLTA DIGITAL CAMERAフィリピン・カビテ州のサンタメルセデス村は、草の根援助運動が20年近く前から関わってきた、小さな漁村です。
首都マニラから直線距離では50キロも離れていないのに、道路が通っていなかったために、バスで2時間以上、さらにそこから漁師の船で1時間半かかるという、文字通り陸の孤島のような場所でした。
電気も水道も、病院もない。草の根援助運動は、井戸設置を支援し、沿岸資源回復を支援し、中学校の設備を支援してきました。

インフラは貧弱ですが、なにもないからこそ、マニラからのボランティア学生たちもびっくりするほどに、素朴でユートピア的な状態を保っていました。草の根援助運動では、開発教育教材「24人にインタビュー」の舞台としてもここを使っています。

この村が今、大きく揺れています。道路が整備され、交通の便がよくなったのを機に、代々ここに住んでいた人々が、リゾート開発のために追い出されようとしているのです。

フィリピンの多くの土地がそうであるように、この村もある有力政治家ファミリーの所有地です。ファミリーは1950年代に購入したということですが、フィリピンでは、20世紀初頭に行われた土地登記のとき、法的知識を持つ者だけがが居住者に関わりなく土地を次々に「所有」していったという経緯があり、ここもそうして最初の「所有者」のものになったのでしょう。

サンタメルセデス村の人々は、そんなこととは関係なく、代々ここに住み、ここで漁業を営んできました。ファミリーも、地代をとるでもなく、村議会が管理して教会を建て、小学校を建て、井戸を掘ることを黙認していました-少し前までは-。

漁船で着くと、子どもたちが集まってくる

漁船で着くと、子どもたちが集まってくる

風向きが変わってきたのは、民衆にも人気があった上院議員の先代から、現在の当主に実権が移ってからだといいます。これも上院議員である当主は、先代よりもビジネスマインドを持っており、この地をリゾートにすることを考え始めました。
道路整備計画が作られ、住民の移住計画も作られました。5年ほど前のことです。そして今、それが動き始めました。

住民を集めての説明会が行われ、反対運動を排除するためにプライベートのガードマンらが村のあちこちに常駐するようになっています。この夏訪問した草の根スタッフも、ガードマンに咎められてあやうく村から追い出されるところだったといいます。

これからの状況を見守りたいと思います。

(Perry事務局長)