ゆったりとした海辺の町

  草の根援助運動のオリジナルワークショップ「24人にインタビュー」の舞台サンタメルセデス村は、フィリピン・カビテ州に実在する村です。陸路がなく、電気も水道もないこの村で、草の根援助運動は、1998年の井戸設置プロジェクト以来、さまざまな支援活動を実施してきました。「24人」はそれを基にして、援助の実際を体験的に考える人気ワークショップです。しかしながら、このサンタメルセデス村では、数年前から大変な問題が巻き起こっています。一部「24人」のネタバレにもなるのですが、最新情報をお伝えします。

 

   この村に移転話が最初に伝えられたのは2010年ごろ。現地NGOスタッフがある政治家筋からの話として仕入れてきたのですが、当初は誰も信じませんでした。この村の人々は何世代にもわたってこの地に住んできたので、法的には有力政治家の所有とはなっていても、土地を追い出されるなどということはあり得ないと信じていたからです。

 

村に入る道路の検問所

   しかし2012年、それが現実になりました。人格者として知られた先代から土地を受け継いだ実業家の娘が、陸路とセットでリゾート施設をつくる計画を公表したのです。4502,500人の村の住人は、家と補償金を提供するので全員別の土地に移住せよと言われました。しかし代替地は海岸から離れており、7割が漁師のこの村の人々には生計手段からの切り離しとなります。更にそこでは住宅費を25年に渡り支払うことが求められます。モダンではあるものの狭く窓も小さい家は、夏はことさら暑そうです。補償金も満足できるものではなく、当然多くの人が拒否して反対運動が起こりました。そこに極左の新人民軍が乗り込んでくるとの情報もあったため、村には国軍と私兵とが送り込まれ、一時は村の中に軍服姿が溢れかえりました。訴訟も起こされ、2015年に巡回裁判所、16年には地方裁判所による排除命令が出されました。しかしそれでも移転に応じたのは村人の三分の一にすぎませんでした。

地方裁判所による排除命令 村の入り口に出されている

 

   衝突が起こったのは20168月のことです。二日間に渡って警官500人と国軍が送り込まれ、催涙ガスが投入される中で作業員が住宅を取り壊しにかかりました。それに対して住民はバリケードと投石で抵抗、あわや流血事態になるところでしたが、ニュースで放映されて全国的に批判が沸き起こったため、数軒取り壊されただけでそれ以上の衝突は回避されました。この様子は今もYoutubeで観ることができます。